2023年1月、カリフォルニア大学バークレー校の博士課程に在籍していた小平暁雄氏は、AI VTuber「しずく」をYouTubeでデビューさせました。しずくは日本語と英語で視聴者と会話し、歌を歌い、Live2Dのアバターを通じてリアルタイムに応答しました。小平氏は数十回にわたって配信を行い、実在しているかのようなAIキャラクターと話すため、数千人のフォロワーが集まるコミュニティを築きました。
当時は、単なる趣味のプロジェクトにすぎないように見えましたが、今振り返ると、これは、はるかに大きな構想を実現するための概念実証でした。
その「はるかに大きな構想」は、小平氏の研究を見れば明らかです。彼は、リアルタイム画像生成を90fps超で実現した画期的な論文「StreamDiffusion」の筆頭著者です。これはライブ動画アプリケーションにも十分対応できる速さです。オープンソースの実装はGitHubで1万以上のスターを獲得し、同論文はICCV 2025にも採択されました。
その構想から生まれたのが、Shizuku AIです。
Shizuku AIは、日本にAIコンパニオンとAIキャラクターの開発に特化したAIラボを立ち上げています。最先端の研究と、世界中で愛される日本のキャラクターデザインを生み出してきた芸術的感性を融合させた取り組みです。最初に注力したのは、しずく自身の能力を高めることです。多言語音声合成や、より高度な対話型AIを導入し、DiscordやYouTube、Xなどのプラットフォームで存在感を高めていきます。
小平氏は現在、AIコンパニオンが抱える根本的な課題に取り組んでいます。相手を惹きつける話題を自ら持ち出すためのデータが不足しているため、やり取りが単調になりがちです。そこで、しずくをさまざまなプラットフォームに展開し、その進化を支える参加型のコミュニティを築いています。これにより、課題の解決に必要なフィードバックループを生み出しています。
コミュニティを主軸に据えるのは、意図的な選択です。小平氏は「愛されるキャラクターは、外部との関わりなしにつくれるものではありません。現実の人々との関係を通じて成長していく必要があります」と考えています。日本のエンターテインメントを代表するキャラクターも、クリエーターとファンの絆を通じて進化してきました。
小平氏は、Metaでリアルタイム動画生成に携わり、その後Luma AIで研究に従事した経験を通じて、深い専門知識を培ってきました。彼は、世界トップクラスの技術力に加えて、共感を呼ぶキャラクターを生み出す文化的な感性、そして共に過ごしたくなるAIキャラクターを実際に開発・運営してきた長年の経験を兼ね備えています。こうした資質をすべて持つ起業家は多くありません。小平氏は、その3つを備えた稀有な人物です。
日本で育った小平氏に影響を与えたのは、人間と人工的生命体が共存する物語でした。『ドラえもん』や『ロックマンエグゼ』をはじめ、AIコンパニオンを単なる道具ではなく、パートナーや友人として描く数々のアニメでした。初音ミクが世界的な現象へと成長する姿も目の当たりにし、日本のキャラクターが言葉や文化の壁を越えることを実感しました。そして、フィクションで描かれたこうした関係を、いずれAIが実現すると確信するようになったのです。
私たちは、Shizuku AIのシードラウンドを主導できることを心から楽しみにしています。これから訪れるAIエージェントの時代に、人々が自分の生活に迎え入れたいと思うエージェントを生み出すのがShizuku AIだと信じています。小平氏は誰よりも早くから、この未来の実現に向けて取り組んできました。その挑戦を支援できることほど嬉しいことはありません。
AIコンパニオンやキャラクターデザイン、あるいはテクノロジーとエンターテインメントの融合に興味をお持ちの方へ。Shizuku AIは日本国内外で人材を募集しています。